『僕が人前に出ない理由(浦和レッズ)』



 みなさん、意外に思われるかもしれませんが、浦和レッズにはマスコットがいます。うそだ!スタジアムに行った時には出てこないよ!そんなのうそだ!そう思われる方も多いでしょう。しかし、嘘ではありません。浦和レッズには公式マスコットがいます。
 浦和レッズのマスコットはレディアといいます。彼は普段はスタジアムには出てきません。出番があるのは、ファンフェスタの時ぐらいです。
 クラブの方針として選手を試合に集中させたいから、マスコットを試合に出さないというのが、その理由ですが、それはあくまでも表向きの理由です。そうですよね。おかしいですよね。現に、Mr.ピッチとか埼玉県のマスコットであるコバトンとかがゲスト出演しているわけですから。
 レディアは以前はとても活動的でした。当時の彼を知る人物は、勇敢でエネルギッシュだったと証言しています。そんな彼がいまや、人前に出ることはめったになく、おかげで引きこもりとかニートとか呼ばれています。彼はいったい、いつから人前に出なくなったのでしょうか。
 レディアには妻がいます。名前はフレンディアといいます。1997年1月に結婚しました。今の彼を見る人は、レディアのいったい、どんなところに魅かれたのかな?と疑問に思われるかもしれませんね。
 レディアとフレンディアは大学時代に知り合いました。フレンディアはレディアの素朴で飾り気のない性格に魅かれたそうです。二人は熱いラブロマンスの末、結婚しました。二人はごくごく普通のカップルのようでした。ただ、一点を除けば...
 フレンディアの実家は世界的に有名なコンツェルン。大富豪。つまり、フレンディアはスーパーセレブだったのです。
 そんな事情をまったく知らなかったレディアは、大学卒業後、就職し、バリバリの営業マンとして社会に出ます。彼は営業部の平社員として将来を嘱望されていました。そんな中、彼はフレンディアと結婚します。彼女が自分が勤める会社の最も重要な取引先とは知らずに...
 会社は最も重要な取引先を失うことをおそれ、世界的に有名なコンツェルンを敵に回すことをおそれ、レディアを内勤に変えてしまいました!!
 これは、会社にとって、会社を守るための当然の措置だったのです。彼に万が一のことがあれば、大変なことになるからです。しかし、これにより、レディアは腐ってしまいました。もしかしたら、今まで、営業成績が良かったのも妻のおかげだったかもしれない。そう考え始めた彼は、次第に消極的になり、「オレなんか働かなくても生きていける」と思うようになりました。
 会社での存在意義を見失った彼は、家事を手伝おうと考えますが、フレンディアに「そんなことは執事にまかせておけばいいのよ」という彼女にとっては夫思いの優しい一言で一蹴されてしまうのです。
 そういった事情により、レディアは会社に来なくなり、ついには、引きこもりとなってしまいました。これに対して、会社は特別に在宅勤務を認めています。「たまに顔出すだけでいいから」というVIP待遇です。このことが、ますます彼を引きこもりにしているとは知らずに...
 レディアは、かつては、やる気あふれる営業マンだった。常に心に夢を描いていた。今は自分の存在意義を見失い、引きこもりとなってしまっている。現在の趣味はテレビゲームとネットサーフィン。
 フレンディアは、実は格式と伝統のある大富豪の血筋を引き継ぐセレブ。レディアとは大学時代に出会い、自分にはない素朴な彼の庶民性に魅かれていった。今でも彼女は彼と結婚したことを最高の幸せと感じている。



 調査終了報告年月日 平成18年1月17日



(注)絶対に本気にしないでください。これはフィクションです。