『心優しきマスコット、モーヴィ君の決意(ヴィッセル神戸)』



 2004年、春、ヴィッセル神戸のオーナーから衝撃発言があった。マスコットのモーヴィ君の引退である。ヴィッセル神戸の心機一転を図るため、2005年以降は、新マスコットで戦うことを宣言したのである。オーナーの権力でモーヴィ君はマスコットの座を追われることとなってしまった。なんと不条理なことか。
 しかし、それに対し、モーヴィ君は怒りをあらわにすることはなく、思いつめた表情で静かに決意を固めていた。サポーターとともに、いつまでも一緒にいたい。それを実現する方法はないものかと。
 2004年のヴィッセル神戸のホーム最終戦では、最高級の神戸牛の霜降り肉がサポーターに配られるそうである。あくまでも、これは噂であるが、現在のところ、まことしやかに伝えられている。
 どうやら、モーヴィ君が、「このまま、ただ引退する道を選べば、チームともサポーターともお別れとなってしまう。だが、自分自身が解体される道を選べば...。サポーターの血と肉となれば、僕らは永遠に一体となってチームを応援できる。いつまでも一緒に応援できる。」と一つの大きな決断をしたようである。モーヴィ君は本当にサポーター想いの心優しきマスコットなのだ。
 何とも悲しい決意表明だが、サポーター想いのモーヴィ君らしい。ただ、オーナーの権力に対抗してほしいという声もある。新マスコット発表の日に、覆面をして、スタンドからピッチに突如、乱入。新マスコットに後ろからドロップキック。オーナーに堂々と宣戦布告し、悪役として永遠にヴィッセル神戸の本当のマスコットの名を名乗ってほしいという声である。
 今は小さく水面下での声かもしれない。だが、このまま、消えてしまうのは何とも悲しい。悪役でもいいので、残留の道を選んでほしいと思うのである。
 モーヴィ君、彼の運命がどうなってしまうのか。行く末を静かに見守りたいと思う。
 ちなみに、モーヴィ君は、マスコット界では珍しいワインをたしなむ粋なマスコット。神戸牛は肉をやわらかくするために、ワインを飲ませるということを聞いたことがあるが、その関係だろうか。ワインがとっても大好き。なんとソムリエの資格も持っている。どの料理にどんなワインが合うか、優しく教えてくれる。将来の夢は世界一のソムリエになること。



 調査終了報告年月日 平成16年7月20日



(注)絶対に本気にしないでください。これはフィクションです。