『伝説のかもめ(千葉ロッテマリーンズ)』



 皆さんはご存知でしたか?この世界を救ったかもめがいたことを。
 皆さんはご存知ですか?我々人類を光り輝く世界へ導いてくれるかもめがいることを。
 1962年10月、キューバ危機。全世界がアメリカとソ連との核戦争勃発を覚悟した時。ソ連によるキューバへの核ミサイル配備、それを阻止するためのアメリカによる海上封鎖。一触即発となる中、ソ連のフルシチョフ首相がミサイル撤去を発表、アメリカのケネディ大統領もキューバへの武力侵攻をしないことを約束したことで事態は収束に向かった。その後、世界は冷戦からデタント(緊張緩和)の時代へと移行することになる。なぜ、フルシチョフはミサイル撤去を決断したのか。一説によるとケネディが教会に行ったのを知って(アメリカの大統領は戦争を開始する決意をする時、決まって教会に行く)、フルシチョフがアメリカが本気なのだと知り、核戦争回避のため、ミサイルを撤去したと言われるが、それはあくまでも俗説である。
 真実はこうである。教会で祈ろうとするケネディに対し、とあるかもめが「祈る前にやることがあるだろう」と言い放ったことがきっかけである。かもめである彼は戦争不可避と考えるケネディを「まだ戦争回避の道はある」と説得し、自分がフルシチョフと接触し和平交渉に当たることを約束。その足、いや、その羽でモスクワへ向かった。当時のモスクワ、赤の広場でフルシチョフと話すかもめの姿が目撃されたという裏情報が私の元に入っている。戦争回避の裏側には彼がいたのである。
 その彼とは誰なのか。その彼とは実は千葉ロッテマリーンズのマスコットのマーくんです。驚かれましたか?え?なぜ?彼は5歳のはずでは?年齢があわないって?彼は本当は5歳じゃないのかって?
 いや、彼は5歳ですよ。我々とともに現在を生きています。では、なぜ、あの当時の歴史に介在できたのか。それは彼がタイムトラベラーだからです。
 彼は我々と同じ時間軸にいながら、3歳の時、自ら発明したタイムマシンを駆使することにより、別の次元から我々人類を歴史上の危機から救おうとしているのです。それはキューバ危機に限らず、他にも今までいろいろとあったはずです。我々が知らないだけで。
 なんとすばらしいことか。なんと偉大なことか。
 皆さんの中には信じられない方もおられることでしょう。彼の愛くるしい顔からは想像できないと思われるかもしれません。けれど、日本にはこういうことわざがあります。能ある鷹は爪を隠す。彼は鷹ではありませんが、持っている能力を見せる必要がないからこそ普段は見せないだけなのです。
 当時の話を彼に聞くと、すっとぼけた顔をして、それには触れず、つりをしながら、「大切なことは誰が救ったかではなく世界が救われたということでいいのではないか」と、屈託のない笑みで語るのでした。はるか遠く海を見つめながら・・・
 彼の瞳の奥には何が映っているのか、それは希望に満ちた未来か、それとも・・・
 人間なんて自分勝手な生き物だ。世界が勝手に平和になるわけではない。誰かが何かをしたのである。それなのに真相を深く究明しようとせず、真実に触れることをしない。その結果、世界を救った者に感謝の気持ちを持つことすらない。我々に恩恵を施してくれた存在に敬意すら払わない。なんという罪深い存在か。
 再び、世界が困難な危機に包まれた時、彼は我々人類を救ってくれるのか。いつまでも我々の側にいてほしい。そう願ってやまない。
 マーくんは千葉ロッテマリーンズのマスコット。キューバ危機の際、世界を核戦争の危機から救った影の英雄、伝説のかもめ。キューバ危機の他では、1993年9月のオスロ合意によるパレスチナ和平に深く介在したと言われる。イスラエルのラビン首相とPLOアラファト議長との交渉にアメリカのクリントン大統領が仲介したと言われるが影で尽力したのは彼である。翌1994年にアラファト議長がノーベル平和賞を受賞したが、真に受け取る資格があるのは彼である。一説によると「賞をもらうために生まれてきたわけではない」と辞退したとか。せっかく平和の大切さを教えたのに・・・と最近のガザ紛争に心を痛めているとか。そのため、その話題をするとさみしげに遠くを見つめる。それから、若き日の革命家チェ・ゲバラに「自分の信じる道をとことんやってみろ」と言ったのも彼。28歳で革命を起こしたゲバラが晩年書いた別れの手紙には彼への感謝の気持ちがぎっしりと書かれているという。



 調査終了報告年月日 平成21年2月22日



(注)絶対に本気にしないでください。これはフィクションです。