『クール〜時代を彩る演出者〜(千葉ロッテマリーンズ)』



 みなさんは千葉ロッテマリーンズのマスコット、クールの過去をご存知でしょうか。彼は2005年のシーズン途中(8月3日)に登場しましたが、そもそもはロッテオリオンズのマスコットになりたくて、1992年に川崎球場へやってきたが、既にチームが千葉へ移転しており、その夢はかなわなかった。そして、チームが移転したことを知らない彼は、チームを探して、世界中をさまよい続け、ようやく、2005年に千葉ロッテマリーンズにたどり着いた。しかし、もう、既にチームにはマスコットがおり・・・という設定です。大変、よくできたシナリオです。みなさんは何の疑問もなく受け入れられたでしょうか。私も当初はなるほどと涙を禁じえなかったです。しかし、よく考えてみてください。この話には無理があります。
 まず、チームの千葉移転を知らなかったとする点。1992年にパリーグのロッテオリオンズ、そんなところに着目するのは相当のプロ野球通です。したがって、千葉移転を知らないはずがないのです。それから、世界中を探し求めたとする点。川崎から世界中を探し求め、千葉へ行かないはずがない。なぜ、14年も?そもそも、彼は新聞を読まないのでしょうか。やはり、話に無理がありますね。
 疑問に思った私は、調査に調査を重ねました。その結果、複数の情報筋から一つの結論が導き出されました。クールの正体、それは・・・
 クールは、千葉ロッテマリーンズにマスコットとしてやってきたのではなく、経営戦略アドバイザーとして球団経営の一翼を担う為にやってきたのです。本来の仕事はファンサービスを通じ球団の安定的な収益拡大に努めること。役職的には荒木事業本部長の上司になります。
 球場のファンサービスを陣頭指揮したいという彼流の仕事のやり方、彼の希望により、2005年途中からファンの前に姿を現すこととなりました。いきなり出現したのでは、あやしまれるというので、あのような設定を考えたのです。ちなみに、いつも彼についているブラックスプラッシュは実は彼の美人秘書である。世界を舞台に飛び回る仕事のできる男には付き物の美人秘書である。その証拠として、キャラクターショーでは、しばしば眼鏡をかけた姿で登場するのが目撃されています。この眼鏡も美人秘書には欠かせないアイテムであろう。
 彼のポリシーは「現場に精通した柔軟な発想」です。現場に精通するため、最前線からのファンサービスということで自らマスコットとなり、ファンとの触れ合いの中で、ファン心理、ファンのニーズを探り続けています。飽くなき研究心です。その一方で柔軟な発想をも持っています。既にマスコットがいるため、ビジターチームのファンを盛り上げることでスタジアム全体を盛り上げるという設定もファンの間で今ひとつの評価と感じ取るやいなや、わずか1ヶ月程度でメインマスコットを狙う設定に大胆にチェンジ。180度の戦略転換を見せました。また、時代のニーズにも敏感で、CDデビューや環境問題への取り組み(環境戦士)も行っています。
 いつもそうです。以前、カルロス・ゴーンとともに日産自動車を立て直した時もそうでした。大胆なコストダウンやブランドイメージの一新、カルロス・ゴーンにCMに出てイメージ戦略をするよう彼に言ったのもクールだと言われています。ちなみに、日産の再建はカルロス・ゴーンによる仕事ではなく、大部分はクールによるものだったというのがビジネス界の通説となっています。たしかに、クールが「ここでの私の仕事はおわった」と言い残し、新天地へ旅立ってからは業績について、めざましい話は聞きません。
 余談ですが、ビル・ゲイツとは盟友で、彼に「そろそろ、引き際じゃないか」と引退を示唆したのが、クールではないかと言われています。
 また、彼は、あらゆる階層のニーズを把握するため、夜の街へ繰り出すこともあるという。昼と夜の街の違いを感じ取ることも彼はビジネスチャンスへとつなげていく。なお、最近では将来の幹部候補生としてマーくんも社会勉強のため、しばしば、連れて行くこともあるという。
 今回の日本での滞在も、後継者を育てたら、また、自分のやりたい仕事を求めて新天地へ旅立ってしまうのではないか?そんなことが懸念される。世界は彼の才能を求めてやまないからだが、ぜひ、ここ、日本、千葉での滞在時間は果てしなく長くとっておいてほしいものである。
 クールは、千葉ロッテマリーンズのマスコット兼経営戦略アドバイザー。世界を動かす男として雑誌「TIME」の表紙を飾ったこともある。1987年のブラックマンデー(暗黒の月曜日)前に株をすべて売り抜けたという逸話は業界の中でも有名な話である。好きな言葉は「愚者は愚痴をこぼし勇者は夢を語る」。好きな酒はマッカラン、ジャック・ダニエルズなど。交友関係も国際的で華々しく、キャメロン・ディアスやシャーリーズ・セロンと噂になったことも。だが、複数の女性からの「あなたが愛しているのは私ではなくビジネス」という言葉の果てに破局を迎えることが多い。



 調査終了報告年月日 平成20年9月9日



(注)絶対に本気にしないでください。これはフィクションです。