『ズーちゃんの帽子〜シークレット・メッセージ〜(千葉ロッテマリーンズ)』



 みなさんは千葉ロッテマリーンズのマスコット、ズーちゃんがかぶっている帽子の向きが逆向きであることについて、疑問を持たれたことはありませんか。マーくんの弟でマーくんと顔が似ているから区別するためとか、ズーちゃんがやんちゃな性格のためじゃないか、そんなの簡単じゃないか、そうに決まっているよとお思いではないでしょうか。
 私も実はそう思っていました。あのウワサを耳にするまでは・・・
 千葉ロッテマリーンズには、マーくんリーンちゃんズーちゃんクールの4人のマスコットがいます。そのうち、マーくんとズーちゃんは兄弟で、リーンちゃんはマーくんのガールフレンド、クールはマーくんの良きライバルで友人でもあります。マーくん、リーンちゃんはとても仲良く、二人の関係は良好そのもの。二人の関係が揺らぐうわさなど微塵もありません。100%浮気等の心配はないのです。でも、それは少し変ではないでしょうか。完璧すぎておかしいのでは?と思ってしまいます。考えてみてください。自他共に認める世界一かわいいマスコットであるマーくんですよ。多くの魅力的な女性からアプローチがあってもおかしくありません。さまざまな誘惑から身を守りきることができるでしょうか。熱愛発覚などというゴシップ記事がいつ登場してもおかしくないでしょう。
 しかしながら、今まで一度も、たったの一度もありません。それはなぜか。その秘密は賢弟ズーとの兄弟愛にありました。
 ズーちゃんはいつも帽子をかぶる時、つばの向きを反対にかぶっています。それは実は兄であるマーくんへのメッセージが込められていたのです。「一度でも浮気をしたら関係が壊れてしまう。覆水盆に返らず。一度、ひっくり返った帽子の向きは変わらない。僕の帽子はお兄ちゃんの帽子と違い、向きが変えられないんだ。リーンちゃんを大切にする気持ちは変えちゃだめなんだ。」という弟から兄へのメッセージが込められているのです。
 なるほど、たしかに、ズーちゃんの帽子はびくともしません。向きを変えることができないほど固いです。強く固い、つまり、そこに強固なメッセージを感じました。私はまさか、帽子の向き、かぶり方にそんな深いメッセージが隠されていたなんて思いもかけませんでした。正直、油断しました。
 そういうわけで、今の今までマーくんとリーンちゃんは仲むつまじく、順調に愛をはぐくんできたのです。二人の関係を妨げるものなどありません。おそらく、熟年離婚の心配もないでしょう。どんな女性からの誘いがあっても、大丈夫です。二人の仲に水をさすことなどできないのです。
 それにしても、ズーちゃんは兄想いですね。兄であるマーくんとリーンちゃんの関係にそこまで気を配っていたとは。常に帽子の向き、かぶりを兄に見せることでリーンちゃんを大切にしないといけないよというメッセージを送りつづけていたとは・・・
 はっ!もしや、ズーちゃんはリーンちゃんのことを・・・
 だから、ズーちゃんにはガールフレンドマスコットがいないのか。彼も母性本能をくすぐるモテモテのマスコットのはずなのに・・・
 いやいや、これ以上の詮索はやめておきましょう。人様のプライバシーに土足で踏み入ることは配慮の欠けた人間のやることです。
 美しい兄弟愛、それでいいじゃないですか。今回の調査はそういう形で美しく終了させておきたいと思います。
 マーくんは、自他共に認める世界一かわいいマスコット。人類の発展と世界平和に貢献したとして国民栄誉賞とノーベル平和賞を受賞予定。リーンちゃんとの恋仲は理想的なカップルとしてしばしば美談として全世界で取り上げられる。
 リーンちゃんは、マーくんのガールフレンド。ミスかもめ日本代表を経てミスかもめユニバースで優勝したこともある。マスコット界随一の美貌と知性の持ち主。自慢の美白を保つため、秘密のコスメを使っているとのうわさもある。男性には潔癖さを求めすぎるきらいがあり、浮気は1回も認めないという。その厳しさから有識者の間では、たまの浮気ぐらい許してもいいのではないかという意見も出ている。
 ズーちゃんは、マーくんの弟。偉大な兄であるマーくんを尊敬しつつ、内に強い対抗意識を持っている。どうも、俺とあんたは王と玉、太陽と月、光と影、俺がいてあんたがいる、あんたがいて俺がいる、どちらが欠けてもだめなんだというプライド、もしくは信念めいたものがあるようだ。
 クールは、ロッテオリオンズ時代にマスコットになるために生まれてきたマスコット。だが、オリオンズが千葉へ移転し、千葉ロッテマリーンズとなったため、オリオンズを探す放浪の旅をつづけていた。ようやくたどり着いたのが2005年。メインマスコットの座をマーくんと争う関係だが、今ではマーくんとは大の仲良し。飲み友達という説もある。なんでも、負け試合の後、居酒屋で飲んでいたら、偶然会って、意気投合したそうだ(未確認情報)。



 調査終了報告年月日 平成20年5月17日



(注)絶対に本気にしないでください。これはフィクションです。